コールセンターの応答率を上げる方法。計算方法や目標目安、改善策を詳しく解説

 

コールセンターを運営するにあたって重要な指標の1つに「応答率」というものがあります。

応答率はコールセンターのつながりやすさを象徴する指標であり、これが低いと顧客満足度の低下を招くなど、さまざまな不利益が生じます。

しかし、応答率が重要ということはわかっていても、どれくらいの数値を目標にすれば良いのか、応答率を上げるために何をすれば良いのかがわからず困っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、コールセンターにおける応答率を基本から確認し、目標とすべき数値目安や、改善させるための具体的方法などについてご紹介します。

コールセンターの応答率向上にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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コールセンターの応答率とは?

応答率とは、コールセンターにかかってきた電話に対してオペレーターが応答できた割合のことです。言葉を換えれば、コールセンターの一大命題である「つながりやすさ」を示す指標ともいえます。

応答率が高ければ高いほど、お客様からの入電に対応できていて「電話がつながりやすい」状態です。その一方、応答率が低い場合は、入電に対応し切れておらず、一部のお客様がつながるまで長時間待たされてしまっている状態です。これでは、お客様の不満やストレスが高まってしまい、顧客満足度が著しく低下してしまいます。

このように、応答率とは顧客満足度に直結するため、多くのコールセンターにおいてKPI(重要業績評価指標)の1つとされています。

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 応答率の計算方法

応答率は、以下の計算式で算出することができます。

応答率(%)=応答数÷入電数×100

たとえば、1日に50件の入電があるコールセンターにおいて、そのうちの40件に応答できた場合の応答率は、「40÷50×100=80」という計算の結果、80%になります。

80%という数値は一見すると高く感じられるかもしれません。しかし、20%の不満足を含んでいると考えれば、決して高くないことがわかります。後ほど詳しくお話ししますが、コールセンターにおける応答率は最低でも85%、できれば90%以上を目指すと良いでしょう。

また、一括りに応答率と言っても、時間帯などによって変動があります。そのため、1日ごとに算出して満足するのではなく、1時間や30分など、細かいスパンで算出することをおすすめします。

 サービスレベル(SL)、平均応答速度(ASA)との違いは?

応答率と似た指標に「サービスレベル(SL)」と「平均応答速度(ASA)」というものがあります。

SLは「一定時間内に応答できた割合」を表す指標です。一定時間というのは各コールセンターごとに任意に設定するものですが、一般的には「20秒以内に80%以上」を満たせれば良いとされています。仮に応答率が高かったとしても、お客様の待ち時間が長ければ、そのぶんSLは低くなります。

また、ASAは入電後にどれだけ早く応答できたか、その速度を表す数値です。そのため、応答率やSLと異なり、ASAは数値が高ければ高いほど応答が遅いことを意味します。ASAは一般的に10秒~10秒程度を目標として設定するコールセンターが多いです。

SLとASAは応答率と似たKPIではありますが、応答率より更に達成難度の高い指標です。応答率を維持できていない状態で、SLやASAを高水準に保つことはできません。そのため、まずは目標とする応答率の達成を目指しましょう。SLやASAを設定する場合は、その先の上位指標とするのがおすすめです。

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適正な応答率の目安・目標はどれくらい?

コールセンターの適正な応答率というのは、業態によって異なります。

たとえば、事故や病気などの緊急性の高い案件を扱う病院関係のコールセンターは、1つの放棄呼が人名を左右しかねないため、限りなく100%に近い、95%以上の高い応答率が必要です。

その一方、一般的なコールセンターの場合は、そこまで高い水準を維持するにはコストがかかりすぎるため、応答率の目標を90%以上に設定しているところが多いです。通販のコールセンターの場合も85%~95%が多く、やはり90%の応答率が大半です。

応答率が高いに越したことはありませんが、高水準を維持するには相応のコストがかかります。放棄呼によって生じるリスクと応答率維持に必要なコストを天秤にかけ、より損失の少ないバランスに収めることが重要です。

数百人規模のコールセンターで応答率を1%上げるには、新規で1人オペレーターを追加する必要があると言われます。そのため、ただ高い数値目標を掲げるのではなく、自社の目指すサービス内容と予算に応じた目標を設定するべきです。

具体的な応答率と、それぞれが表す状況は以下の表の通りです。

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応答率 具体的状況
90%以上 入電が集中するピークタイムには多少の取りこぼしがあるものの、ほとんどの入電に対応できている状態です。

つながりやすいコールセンターとして、高い顧客満足度を維持することができます。

80%以上90%未満 ピークタイム以外での取りこぼしが増え、お客様を待たせることが多くなります。

電話がつながりにくいことに対するクレームも出てくるため、オペレーターの人員不足やスキル不足など、原因を明らかにして適切な対策を取る必要があります。

70%以上80%未満 ひっきりなしに入電していて、電話が鳴りやまない状態です。

お客様の待ち時間が長引くことでクレームの数が増し、それに対処するオペレーターのストレスも増してしまいます。

顧客満足度の低下のみならず、オペレーターの士気低下や離職率上昇にもつながるため、なるべく早く対策を取る必要があります。

70%未満 電話が著しくつながりにくく、コールセンター業務が回っていない状態です。

お客様を10分以上待たせてしまうことも多く、満足度が大きく低下し、競合他社への乗り換えなどの機会損失につながります。

また、クレーム対応が常態化することで、オペレーターだけでは対処し切れない案件が増え、SVや管理者による二次対応が必要になってきます。至急対策が必要です。

コールセンターの応答率を上げるには?

 

ここでは、コールセンターの応答率を上げるための改善策を6つご紹介します。

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改善策①: 対応可能なオペレーターの数を増やす(マルチスキル)

応答率が低いというのは、入電数が対応可能なオペレーターの数を上回っている状態です。単純にオペレーターの数自体が不足していることもありますが、休憩などで離席していたり、電話対応の後処理に時間がかかっていたりすることで、対応可能な人員が一時的に減ってしまっている可能性もあります。そのため、応答率が特に下がっている時間帯を見極め、その原因を明らかにしましょう。

たとえば、休憩での離席が多い時間帯に応答率が下がっているようであれば、休憩時間をずらすことで人員を確保しましょう。また、後処理に時間がかかっている場合は、後処理を一時中断して入電に対応できるよう、オペレーターのマルチスキルを向上するための指導を行いましょう。

 改善策②:業務内容を見直す(通話時間、処理時間改善)

応答率が低い原因が、業務内容の中にあることも考えられます。応答率が思うように上がらない場合は、一度業務内容を隅々まで点検し、非効率的な部分が無いか確認することが大切です。

たとえば、通話による応対時間が長い場合は、オペレーター向けのマニュアルやFAQを刷新する必要があるでしょう。内容が顧客に伝わりにくいことも考えられるので、トークスクリプトの内容を見直してみるのも手段の1つです。

また、後処理に時間がかかっている場合は、個々のオペレーターの入力スキル向上のための研修を行ったり、サポートシステムを導入したりすると効果的です。

そして、似たような問い合わせが多くて対応し切れない場合は、顧客向けFAQを強化することで、入電自体を少なくすることが期待できます。

 改善策③:入電予測の精度を高める

コールセンターへの入電は、当然ながら常に一定なわけではありません。新商品やサービスのリリースなど、自社の取り組みに関連して入電が増えることもあれば、時間帯や曜日、季節やイベントなど、外的要因で入電が増えることもあります。

コールセンターの応答率を上げるためには、突発的な入電の増加に対応するため、入電予測の精度を高めることが効果的です。

入電予測は、過去の平均から導く方法と、入電と相関が強い係数(広告の露出量増加など)を用いて統計学的に導く方法があります。

 改善策④:一時受付(スナッチ)対応を行う

一時受付(スナッチ)対応とは、コールセンターへの入電が集中した際に、顧客の名前や連絡先などを聞き出し、後から折り返し連絡をする対応方法です。スナッチ対応を行うことで、個々の入電への対応時間を大幅に短縮させることができ、より多くのお客様からの受注を捌くことが可能となります。また、折り返し対応は企業側のタイミングとなるので、業務のコントロールが効くということになります。

しかし、オペレーターにつながったのにその場で対応しないので、顧客満足度を下げてしまう可能性や、折り返しまでの時間が長引いてしまうと、顧客の購買意欲が低下して受注につながらなくなる可能性もあります。そのため、スナッチ対応を行う際は、折り返し時間をどの程度で対応するのか、または出来るのか等の調整ができていないと、結果的に「折り返しが掛かってこない」という呼量が増える原因にもなりますので、業務設計や現場判断が重要となります。

改善策⑤:自動応答システム(IVR)の導入

IVRは “Interactive Voice Response” の略称で、「自動応答システム」を表します。IVRを導入することで、人間のオペレーターが取りこぼしてしまう入電にも自動応答音声が対応してくれ、応答率を高めることができます。

よくある質問についてはIVRだけで対応を完了させ、人間のオペレーターによる対応が必要な場合は、プッシュボタンによる誘導やスナッチ対応と同様の折り返し連絡を行うことで、対応業務を効率的に進めることができます。また、人間のオペレーターと異なり業務時間を考慮する必要もないため、24時間入電に対応させることも可能です。

【参考記事はこちら】:IVR(自動音声応答システム)とは?コールセンターに導入するメリットを解説 | 通販支援ノート (nissen.biz)

改善策⑥:コールセンター業務支援(代行)サービスを利用する

自社での対応に限界がある場合は、コールセンター業務の専門業者による代行サービスを依頼するというのも手段の1つです。

専門業者には十分なノウハウがあり、練度の高いオペレーターが必要十分在籍しているため、高い応答率と対応品質を実現させることができます。

代行サービスには、毎月決まった料金がかかる「月額固定型形態」、実際に対応したコール数に応じて支払う「従量課金形態」、アポイントや受注などの成果に応じて支払う「成果報酬形態」があります。多くの業者が複数の料金形態に対応しているため、自社の求めるコールセンター運営に応じて適切な料金制度を選ぶことをおすすめします。

【参考記事はこちら】:コールセンター代行会社の費用はどのくらい?各社の特徴と料金比較

【まとめ】応答率を改善し品質の高い運営を目指そう。

今回はコールセンターの応答率について詳しく解説してきました。

応答率はコールセンターのつながりやすさを象徴する重要なKPIです。コールセンターのサービス品質を高め、顧客満足度の高い運営を進めていくためにも、ぜひ意識的に目を向けるようにしましょう。

しかしながら、業務効率を維持しながら、顧客満足度を保つことは容易ではありません。業務設計や実際の運営にご不安のある方はぜひ一度ニッセンにお問い合わせください。

40年以上のコールセンター運営実績を背景とし、経験豊富なオペレーターによる質の高いテレマーケティングをご提供します。

お客様企業の様々な業態、サービスに合わせたオペレーションニーズに対応しておりますので、ご興味のある事業担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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